あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


29 らいねんのはるには…

ふたりのはなしがおわると、
女の子がルイさんにこえをかけました。

ルイさん、こんにちは。
オリーボロスのことをおしえてちょうだいな。

おんなのこやエシカルンたちの
すがたをみたルイさんは
やぁこんにちは、というと、
にこにこがおをしました。

りっぱなオリーボロスにするためには、
どうしてノナフーがいいんですか?
エシカルンのといに、
ルイさんはとつとつとはなしをはじめます。

それはな、ノナフーがそだつしまと、
われわれのとちのきこうやつちのえいようが、
ほとんどおなじだからなんだ。
けれども、
ノナフーがあるのはなにぶんとおいしまで、
それに、ノナフーはきちょうなしょくぶつだから、
たねがなかなか手にはいらないんだよ。

そこまでいうと、
ルイさんはすこししょんぼりになり、
そしてふうっとためいきをつくのでした。

けんきゅうじょのまどに目をやるルイさん。
そのむこうには、たいようがにしのそらへと
すがたをけしていくようすがみえました。
わたりどりのかぞくが、
しゅいろのそらをすいすいと、
ねどこにかえっていきます。

そのようすを見ていたエシカルンとことりさんは、
なんだかうれしいふうとなり、
ふたりそろってもうしあわせたようにいいました。

そうだ、いいことをおもいついた!

ひとみをまるまるさせながら
ふしぎそうにしているうさぎさんに、
ふたりがせつめいをします。
あのね、それはね……。

はなしがおわると、
エシカルンがルイさんにいいました。

ルイさん、らいねんの春までまっていてください!

おどろいたようなかおをしたルイさんの耳に、
どこかとおくからこんなこえがきこえてきたのです。

えしかるるるん、えしかるんるん
えしかるるるん、えしかるんるん

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