あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


31 焼けこげたたてものと、少女たち

はるがすぎ、なつがさって、あきがおわり、
エシカルンたちのたびは、まだまだつづいています。
3にんは、はにかみなおひさまをからかってみたり、
ふゆごもりの歌をうたったりしながら、
つぎの町へとむかいました。

ふゆり、ふゆりとこなゆきがまう町は、
ところどころに、
まっしろいおさとうをまぶしたようなすがたで、
はたけも、川も、山のてっぺんもふるえています。
けれども、ことりさんは、
あたまにちいさな雪だるまをのっけて、
なんだかうれしそうです。

町のまんなかあたりまでくると、
それまでようきにしていたうさぎさんが、
ピンクいろのおはなを
ぴくっとしながらたちどまりました。

なんだかへんなにおいがするよ。

うさぎさんはにおいのほうへかけていきました。
ことりさんもエシカルンもつづきました。

するとどうでしょう。
3にんの前にとつぜんあらわれたのは、
まっくろに焼けたおおきなたてもの。
うさぎさんがかいだのは、
そのたてものがこげたにおいだったのです。

たてものの前には、
ふたりの少女がたたずんでいました。
ふたりはくっつきあい、とてもさむそうでしたが、
でも、なぜだか着ているようふくは、
ぴかぴかのそらいろに、
まっかなお花のししゅうをさしたワンピース。
まるで、冬のおひめさまから
まほうをかけてもらったみたいに、
かわいらしいものだったのです。ねぇ、こんなところで、どうしたの?
エシカルンがふたりにはなしかけると、
少女たちはうるんだ目でエシカルンにいいました。

ここは、わたしたちがずっとはたらいてきた
はたおりのこうじょうだったの。
でもね、火事になって、
たいせつな布も糸も、どうぐも、
ぜんぶ燃えてしまったの。

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