エシカルンのだいすきなみずうみの
ほとりについた3にん。
けれども、なんだかようすがちがいます。
まんかいになっているはずのお花が、
どこにも見あたらないのです。
いつもは美しいコバルトブルーに
かがやいているみずうみも、
きょうはどんよりくもりがち。
おさかなたちのけはいもありません。
「あれ、あれ、おかしいな。
いつものかわいいお花さん、どこかに
おひっこししてしまったのかな」
大きなおめめをくりくりさせて、
うさぎさんがいいました。
きれいなメロディをかなでていた
ことりさんは、すっかりおどろいて、
こえがだせなくなりました。
エシカルンはそのばにたたずんだまま、
動くこともできずにいます。
3にんは、くもったみずうみのほとりで、
しばらくぼうぜんとしていました。
すると。
にわかにふわりとふいた風が、
エシカルンのほおをひんやりなでていきます。
春らしくもない、なんだかふしぎな
つめたい風−−—−−そのときです。
エシカルン。
エシカルン。
あたまの上から?
あるいはみずうみのそこから?
もしかしたらほとりの木の上から?
エシカルンを呼ぶはるかな声が、
3にんの耳にとどいたのでした。