エシカルン。
エシカルン。
いっときまえに聞いたことがあるような
その声は、まるでたんぽぽのわたげが
ふわり、ふわりと風にまうように、
宙をさまよいおどります。
エシカルンはあたりをきょろきょろみまわしました。
うさぎさんもことりさんも、おなじようにしました。
エシカルン。
ここじゃよ。
3にんの耳に、こんどは、きっぱりとどいた声。
それはたしかに、
ほとりの木のうえからおりてくる声だと
エシカルンにはわかりました。
お花がきえてしまった、森。
おさかなのけはいがなくなった、みずうみ。
どうしてだかわかるかい? エシカルン。
声は、なおもいうのです。
エシカルンが声のほうをみあげてみると、
そこにいたのは、もうとっくの春だのに、
ねずみとちゃのしまもようの
がいとうを着こんだ、
ふくろうのおじいさんでした。