あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


4 森から聞こえる声のぬしは…

エシカルン。
エシカルン。

いっときまえに聞いたことがあるような
その声は、まるでたんぽぽのわたげが
ふわり、ふわりと風にまうように、
宙をさまよいおどります。

エシカルンはあたりをきょろきょろみまわしました。
うさぎさんもことりさんも、おなじようにしました。

エシカルン。
ここじゃよ。

3にんの耳に、こんどは、きっぱりとどいた声。
それはたしかに、
ほとりの木のうえからおりてくる声だと
エシカルンにはわかりました。

お花がきえてしまった、森。
おさかなのけはいがなくなった、みずうみ。
どうしてだかわかるかい? エシカルン。

声は、なおもいうのです。

エシカルンが声のほうをみあげてみると、
そこにいたのは、もうとっくの春だのに、
ねずみとちゃのしまもようの
がいとうを着こんだ、
ふくろうのおじいさんでした。

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