あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


13 おとこのこを、たすけよう

「ねぇ、泣かないで」
エシカルンは、おとこのこの手を
ぎゅんとにぎりました。
どこもここもまるできずだらけの、
そのちいさな手は、
きれいなお花をつんだことも、
たのしい本のページをめくったこともないのでしょう。
そうおもうと、
ことりさんもうさぎさんも、エシカルンも、
おとこのこがふびんで、
しばらくものをいえませんでした。

「わたしたちがちからになるよ」
いっときあと、ことりさんがようやくそう口にし、
なつのはねがととのったばかりのみぎてをのばして、
おとこのこのほっぺの涙をぬぐってあげました。

「おてんとうさまがあるうちに、おうちにかえろう」
うさぎさんが、すいとうの水をくんでさしだすと、
おとこのこは、さばくのらくだのように
その水をのみほしました。
そしておそるおそるいいました。
「こんなところを親方にみつかったら、
おしおきになってしまうよ」

エシカルンは、このおとこのこを
ほうっておけないと思いました。
森のそとではじめてであったにんげんのおとこのこが、
こんなにひどいめにあっているんだ。

「おとこのことともだちになって、
がっこうへ行かせてあげよう。
おとこのこのおかあさんに
とろりとしたミルクをのませてやろう。
そのためにはね…」

エシカルンはうさぎさんとことりさんの
耳にちかづいて、
ひそひその声ではなしをしました。

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