エシカルンたちは、おやこにちかづいてみました。
おやこは、こまったかおでひっつきあい、
はなしをしています。
「まいったな。
もう、漁はつづけられそうにないな…」
てぬぐいであせをふきふき、
せいのたかいちちおやがいうと、
「しかたがないよ。ぼくがまちにでてはたらくから」
と、むぎわらのしょうねんがためいきをつきました。
「でも、あんたは、
漁いがいはしたことがないだろうに」
ははおやのまえかけには、
しゅうぜんのあとがいくつもありました。
おやこはしだいに、
くもったねずみいろの空のようなふんいきになります。
エシカルンは、
おもいきっておやこにこえをかけてみました。
「こんにちは。どうしたんですか」
てぬぐいのちちおやは、エシカルンのはなしかけを
まっていたかのように、
おしゃべりをはじめました。
「どうしたもこうしたも、ないよ。
よくばりな漁師たちが、
さかなをいっぺんにさらっていくんだ。
漁は1にちに1かいこっきりと
さだめられているのに、
やつらときたらそんなのおかまいなしさ。
おかげでさかながいなくなって、
おれたちのしょうばいはあがったりだ」
そういえば、と口をひらいたのはことりさん。
「うみにはかもめがたくさんいるはずなのに、
ここにはいないねぇ」
「そりゃそうだよ。
えさになるさかながいないんだからさ」
まえかけのははおやがふうっとためいきをつくと、
ねずみいろの空がいっそう
ひろがった感じがしました。