あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


20 漁のさだめがやぶられている

エシカルンたちは、おやこにちかづいてみました。
おやこは、こまったかおでひっつきあい、
はなしをしています。

「まいったな。
もう、漁はつづけられそうにないな…」
てぬぐいであせをふきふき、
せいのたかいちちおやがいうと、
「しかたがないよ。ぼくがまちにでてはたらくから」
と、むぎわらのしょうねんがためいきをつきました。
「でも、あんたは、
漁いがいはしたことがないだろうに」
ははおやのまえかけには、
しゅうぜんのあとがいくつもありました。

おやこはしだいに、
くもったねずみいろの空のようなふんいきになります。
エシカルンは、
おもいきっておやこにこえをかけてみました。
「こんにちは。どうしたんですか」

てぬぐいのちちおやは、エシカルンのはなしかけを
まっていたかのように、
おしゃべりをはじめました。

「どうしたもこうしたも、ないよ。
よくばりな漁師たちが、
さかなをいっぺんにさらっていくんだ。
漁は1にちに1かいこっきりと
さだめられているのに、
やつらときたらそんなのおかまいなしさ。
おかげでさかながいなくなって、
おれたちのしょうばいはあがったりだ」

そういえば、と口をひらいたのはことりさん。
「うみにはかもめがたくさんいるはずなのに、
ここにはいないねぇ」

「そりゃそうだよ。
えさになるさかながいないんだからさ」
まえかけのははおやがふうっとためいきをつくと、
ねずみいろの空がいっそう
ひろがった感じがしました。

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