あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


22 お頭は、ほんとうはいいひとなのに

どどどっ、どどどどっ。
お頭や漁師たちがのったぎょせんは、
おれがうみのたいしょうだといわんばかりに、
いばった音をひびかせ、沖へとでてゆきました。
そのようすをみていたしょうねんが、
くやしさをにじませます。
「やつらはきまりをやぶってかせいだお金で、
あんなにりっぱなぎょせんにのっているんだ。
そしてうんどうじょうほどもある網をつかって、
ごっそりのこらず
さかなをさらってしまうんだよ」
しょうねんはうなだれながらも、
もうがまんがなりません。

すると、こんどはちちおやが
ぼんやりとつぶやきました。
「あいつもお頭とよばれるようになるまえは、
せっせとはたらくいい漁師だったんだが…」

ちちおやのそんなつぶやきを
きいていたエシカルンたち。
「それだのになぜ、
あくどいお頭になってしまったの?」
すぐさま、といをしたことりさんに、
ちちおやはこたえました。
「やつのいえはきょうだいが多くて
まずしかったんだ。
それで、やつがいちばんかわいがっていた
すえのいもうとが
まちに奉公にだされてしまったんだよ」

そのことをさかいにして、
お頭はかわってしまった。
お金さえあればとかんがえるようになったのです。

「じゃあ、お頭はもともと、
わるい人じゃないんだね」
うさぎさんがいうと、
ちちおやはしっかりとうなづきました。

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