あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


26 オリーボロスののうえんで

エシカルンとことりさんとうさぎさんは、
うみべのまちにさよならをして、
また、たびをはじめました。
「ねえ、エシカルン、
人間っていいものなのかなあ?」とうさぎさんが、
すすきがぎんいろにひかる、
あきのこみちをあるきながらいいました。
「じつはわたしもおなじことを
かんがえていたの。
どうおもうエシカルン?」
とこんどはうさぎさんがいいました。
ときおり3人を見おろすようにあらわれる
くぬぎの木ときたら、
まるではずかしそうに葉っぱをあかくそめています。

エシカルンはちょっぴり
こまったようなかおをして、こういいました。
「たぶんね、もともとわるい人間なんて
いないとおもうんだ。
もし、わるい人間がいるとしたら、
それはきっとひどくつらいめにあったり、
だれかにそれはそれはさびしいおもいをさせられたり、
なんかのきっかけみたいなものが
あったんじゃないかな。
なんか、そんな気がするよ」
「ふーん」

きがつけば3人は、
なみのてっぺんがきらきらとかがやく、
海めんをはるかにのぞむ、
やまのしゃめんにたどりついていました。
そこにはたくさんのえだを
あちこちにはりめぐらせた、
ひくい木々があり、
人間たちがその実をひとつひとつ、
だいじそうにしゅうかくしていました。
「こんにちは」と人なつっこいうさぎさんは、
その中のひとりの女の子にといをします。
「この実はなんの実なの?」
「オリーボロスっていうのよ」と
女の子は短くこたえました。

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