あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


27 なかなか実がそだってくれない

「オリーボロスからは、
とってもおいしいあぶらがしぼれるのよ」
そういいながら、さいしょは、
かおをつんとじまんげにした女の子でしたが、
しだいにそのひょうじょうをくもらせていきました。
「…でも、ここのつちはえいようが
いっぱいではないみたいなの。
それに、うみのかぜがとつぜん、
びゅうとひどくなったり、
あめがざんざんぶりになったりするせいで、
オリーボロスはなかなかそだってくれなくって」

エシカルンが、女の子のかかえたかごをのぞくと、
そこには、もうしわけないというかおでおさまる、
ちいさくてしょんぼりのオリーボロスたち。
うさぎさんが、
その実をひとつつかんでみようとしたとき、
あっちで実をつんでいた女の子の
ははおやがちかよってきました。

「ここじゃあ、
じょうとうなオリーボロスなんてできやしないね。
だから、となりまちのりっぱな
のうじょうにうつろうってのに、
この子ったらがんとしてききいれないのさ」

なげやりなははおやのものいいに、
女の子もだまっていません。
「だって、このとちはおじいさんが
くろうしてひらいたの。
それに、ルイさんだってがんばってオリーボロスの
けんきゅうをしてるんだから!」

エシカルンたちは、
女の子がこれほどいっしょうけんめいになる
オリーボロスのことや、
ルイさんというひとについて、
くわしくきいてみることにしました。

ルイさんは女の子のおじにあたるひとで、
このとちにあったオリーボロスをつくろうと、
ながいあいだけんきゅうじょに
こもっているということでした。
「けんきゅうっていったって、
フラスコやビーカーのなかから
いいオリーボロスができるわけないんだよ」

にくしみをこめたははおやのものいいに、
ことりさんはとてもかなしい
きもちでいっぱいになります。

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