あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


10 どこからか、ふしぎな音がきこえてきた

おひるごはんのあと、
どのくらいあるいたことでしょう。
3にんはようやく、森のそとにでました。
でも、そこには、ことりさんがいつもうっとりとなる
青芽のにおいはありません。
うさぎさんがそうっとさわってみたくなる
てまりのようなつぼみもみあたりませんでした。

森のそとでは、春はすでにおわり、
夏のひざしがじめんにきりきりとふりそそいでいます。
みちのりょうがわにはえているくさたちも、
あつさのためかうなだれてしまい、
どことなくいきぐるしいようすです。

しばらくすると、これはいったいなに?
どこからともなく、いままできいたこともない
きみょうな音が、3にんの耳にひびいてきました。

コツ、コツ、コツ。
コツ、コツ、コツ。

なにか、とてもかたいものをたたいているような、音。

コツ、コツ、コツ。
コツ、コツ、コツ。

間をあけず、あさのたいそうのように
きそくただしくきこえてくる、音。

エシカルンはちゅういぶかくあたりを見まわします。
しばらくすると、その音は、はるかむこうの
がけからしてくることがわかりました。

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