あしたのせかいをたびするおはなし ことりとうさぎとエシカルン


11 音のしょうたいと、にんげんのおとこのこ

3にんは、音のしているほうこうへと、
しぜんとあしが向かっていきました。

コツ、コツ、コツ。

いよいよおおきくとどくようになった音に、
エシカルンたちは、ついにそのありかをとらえます。

そこには、ぜんしんがどろでひどくよごれ、
あつさのせいか、
かおをまっかにしたおとこのこのすがたが。
音のしょうたいは、
おとこのこが、あせみずくになりながら、
てつでできたかたいどうぐをつかって、
がけの岩をくだくものだったのです。

なぜだかとっさに、そのおとこのこが
にんげんのこどもだとうかんだエシカルン。

「こんにちは」「こんにちは」
うしろからおそるおそるこえをかけてみると、
おとこのこは手をやめて、
ゆっくりとこちらをふりむきました。

「こんなところで、なにをしているの?」
ことりさんは、しっとりとたずねながら、
おとこのこのほっぺたについたどろを、
やわらかなはねで
はらってあげられたらいいとおもいました。

「がけのふちは、すべってあぶないよ」
うさぎさんは、そうしんぱいしながら、
やせっぽちなおとこのこに、
さっきのおにぎりを
ひとつのこして、食べさしてあげたらよかったと、
こうかいのきもちがしました。

 

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